血を吸うシリーズの第二作目で、岸田森演じる吸血鬼が出てくるうちの一作。主人公の医師・高橋長英の恋人の妹役は江美早苗。
この名前だけだとなじみのない人も多いだろうが、由美かおるや奈美悦子らと同様に西野バレエ団出身。のち作詞家に転身し、
南沙織の「人恋しくて」(♪くーれそうで くーれなーい たーそがーれどきは)や堀ちえみの歌詞など多数を書いた人。
俺が知ったのはこういった実績からではなく、ストーカー殺人事件の被害者としてのこの人で、当時ワイドショーで
生前の彼女の業績として紹介されたのがこれらだった。「俺も知っているこれを書いたのがこの人だったのか」という感じ。
こういう知識が頭にあるだけに、岸田に血を吸われ、顔面蒼白の吸血鬼と化した彼女の鬼気迫る感じが印象に残った。
ストーリーはあまり起伏がなく地味。だが画面から日本独特のジトッした雰囲気が漂い、展開は割合に引き締まっている。
吸血鬼の犠牲になる女性役にMATの丘隊員がいたり、高品格が吸血鬼のしもべになったり、大滝秀治がすごく贅沢な起用のされ方をする。
なんと秀治は日本人ではなく(おそらくヨーロッパ人)吸血鬼の血統に連なる人物。おまけにメイクのせいで誰だかわかりづらい。
秀治の父親が日本に移住し、それ以来洋館に住んでいるのだ。秀治の父&秀治は吸血鬼の血が覚醒することなく普通に生きてこられたが、
秀治の息子・岸田森は吸血鬼の血が開花してしまい、秀治によって館の一室に監禁される。秀治は森によって血を吸われ衰弱、
森はその死後抜け出して人々を襲っていた。主人公は恋人の持つ奇妙な記憶が、幼少時代にこの館に迷い込んだ時のものであると気づき、
恋人とともに館に乗り込んで戦いを挑む。
館のシーンは終始暗く、何が起こったのかわかりにくいのが最大のネック。外国人の秀治が日本語で書いた日記が必要以上に説明的で、
それに劇中の謎の解明を預けてしまっているのもアレではあるが、優等生の姉に対する屈折した妹の気持ちがストーリーに深みを
出している。横溝映画(特に「悪魔の手毬唄」あたりが近いかも)が好きな人にはすんなり入っていけると思う。
初期UFCのような怪しい面々が揃ったガンファイトトーナメントを舞台にした勧善懲悪映画。
復讐の女ガンマン、シャロン・ストーンがカッコいい。途中までテンガロンハットをかぶっているが、風雲ライオン丸の後半のように
無帽になってからの終盤の強さが印象的。主催兼参加者の悪徳保安官ジーン・ハックマンは、銃の腕には絶対の自信があるため、
ガンファイトは正々堂々と戦う。彼は人間的深みのある憎々しさだ。ボロボロに虐げられているが銃を取るとすごい牧師ラッセル・クロウも良い。
ディカプリオは屈折した心理を父のハックマンに向けて散っていく。ハックマンは極悪人だけに敵が多く、紛れて参加している殺し屋に
狙われるが銃の腕で勝ち残る。ガンファイトトーナメントゆえ死人続出(序盤の戦いはギブアップあり)ではあるが、
マンガチックな画面のせいもあって割合カラッとしている。「ミレニアム」のフランク・ブラックことランス・ヘンリクセンが、
実際の腕以上に大言壮語しているやられ役で登場。命のやり取りがテーマだが戦争映画のような重さはなく、それぞれが
銃の装飾やカスタマイズに凝ったりして優雅だ。もうちょいテンポが良ければもっと燃えられただろう。男子にはおすすめな作品。