当初参加可能人数は200名程度とのことだったが、ブロックの数などからみて、250〜300名程度は握手できたようだ。
おそらくワイドショーと思われるカメラが来ていたので、今回の模様はテレビで放送されるかも知れない。
客は現役のモーヲタ、かつて彼女のファンだったであろう人などで、全般的に年齢は高め。広場に迷路のように仕切られた一室があり、
そこに少人数ずつ区切って案内され、本人が著書を手渡しし、その間ちょっとした会話をするスタイル。
要するに普通に行われている本来の語義での「握手会」なのだが、かつてモーニング娘。に属していた彼女がこのスタイルだと新鮮である。
これが短時間に慣らされたかつてのヲタにはかえって意外だったようで、「ゆとりがありすぎて話題を用意しておらず、困った」
という人もいたようだ。
久々に間近にする彼女は、髪の毛は昔より軽い型に、体型はかなりスリムになっていた。まったくブランクを感じさせない… どころか、
むしろ今のほうがトータルの完成度がアップしていると思う。おなじみの鼻ピアスは、やっぱり今日も右鼻翼に輝いていた。
俺がかつて8号に渡って作り、インストアイベントごとに渡していたタンポポ新聞「愛猛麗」(アモーレ、と読む)の最新作を
手渡しすることもでき俺的には満足。手渡しした瞬間彼女の口調が、「ポケットバンク」の飯島直子を彷彿とさせるタメ口に
変わったのが面白かった。
それ以外にも態度の端々から、フランクで気取りのない人なんだなという好印象を改めて持った。現在の生活が幸せであろうことは
感受性が鈍い人でも察することができたはずだ。よかったよかった。参加したファンも満足度は高かったのではないだろうか。
心底堪能できた素晴らしいライブだった。彼女が人気声優であることは知っていたし、元々演歌歌手志望であることも知っていたが、
ボーカリストとしての能力がこれほど高いとは知らなかった。変な期待がなかったのも幸いしたのだろう。
満員の観客は総じて若め。特攻服などライブならではのカッコはいたが、特異な外見の人は(少なくとも見た範囲では)おらず、
見た目は普通のファンが多い。こう言っちゃアレだがちょっと意外。俺の席は二階の最上部だったものの、
会場があまり広くないこともあってステージはよく見渡せた。中央上部にB'zみたいなロゴ(奈々のイニシャルNがモチーフ)、
セットは2階建て構造。バックバンドはギター*2、ベース、ドラムス、キーボード。ギターの一人になんと北島健二。
彼のプロフィールにある「舘ひろしとセクシーダイナマイト」(すごい名前。テレビではこうクレジットされていた)は、
小学生の頃「レッツゴーヤング」で見た記憶がある。曲によって女性メンバー4人によるブラスセクションと男性サックス、
さらにチアガールだったり、武富士ふうだったりするダンサーが入る。
水樹奈々のルックスを身近なところでいえば、Ainaの目をパッチリさせた感じ。小柄な人によくあるプロポーション。
ダブルアンコールでのファンとの合唱も含めると全22曲。後から数えると4分の3くらいしか曲を知らなかった状態で臨んだものの、
知らない曲も含め、俺の好みからすると捨て曲なし。声優のライブ=いわゆるピンクハウス系夢見る夢子ちゃんワールドな
イメージがあったが、彼女の場合はハードな曲揃いでストロングスタイルな印象。いい意味で暑苦しい。曲によって浜田麻里な声になったりも。
さすがに演歌系だけあってトークにもそつがない。「歌うヘッドライト」や「走れ歌謡曲」のパーソナリティのようだ。
以前にもふれたが、本田美奈子、工藤静香、他でいえば木内美歩、三宅亜依、山崎亜弥子ら、つまり産業ロック系アイドルサウンドが
好きな人には文句なしにおすすめできる。ボーカリストとしての能力に特化しているようで、ダンスはご愛嬌。
場内の一体感はさすがで、応援スタイルのあちこちに'90年代アイドルテイストがかなり残存。ただサイリウムと手振りが基本なのは今ふう。
曲目はこれを基本に、多少順序を入れ替えてあった。
「リプレイマシン」のグルーブ感、「POWER GATE」の疾走感、新曲「WHAT CHEER?」(表記不明)の広がりは見事で、
リクエストコーナーだった11曲目「天城越え」(石川さゆりをフルコーラスで)ではさすが演歌歌手志望の情感が出ていた。
個人的には「飢餓海峡」「津軽海峡冬景色」「能登半島」(いずれも石川)、「石狩挽歌」(北原ミレイ)あたりも聞いてみたい。
しかし若い客層のどの程度が「天城越え」を知っていたかは疑問(笑)。このコーナーでは会場ごとに違う曲を歌ったようで、
他の会場での「めっちゃホリディ」「残酷な天使のテーゼ」「ステルヴィア」主題歌といったあたりはぜひ聞いてみたかった。
「Heaven Knows」はボンジョヴィあたりが歌いそうな曲。「イロメロミックス」CMソングでもある「still in the groove」は、
これでもかこれでもかというビブラートが素敵。「suddenly 〜巡り合えて〜」のレベッカ「フレンズ」感、
「New Sensation」の息切れしそうにたたみかけるパワーも良かった。ツアーグッズTシャツとジーンズという定番衣装でのアンコール
「PROTECTION」では、タオルを使ったE.YAZAWA的場内一斉アクションがお約束らしい。「今はダメダメだが
勝ち組の芽もあるから頑張ろう」という歌詞も妙に身にしみた。俺が今まで見てきたアニメ・声優系のライブは、
客のリズム感が「わざとそういうふうにやろうとするほうが難しい」というくらい悪いことが多かったが、
水樹奈々の客はその辺の錬度が高いと思う。終了後の三本締めなどの「伝統」もまだ生き続けていた。ちなみに次のライブは
新年のカウントダウンを幕張メッセでやるそうな。
長くなったので全編目を通してくれた人は少ないとは思うが(笑)、水樹奈々にはこれからも注目していきたい。