宣伝を見ると「その男、凶暴につき」みたいなのを想像したが、そこまで行かず「こち亀」のキャラをシリアスに移譲したような感じ。
主人公の性格は両津のそれを彷彿とさせる。規制の厳しい最近のアメリカのドラマには珍しくエロシーンもあるのが嬉しい。
日本の警察にありがちな「不作為による不祥事を隠蔽するための悪事」ではなく、「犯罪を防ぐ手段としての不正」がテーマ。
今思えば昔の日本の刑事ドラマはみんなこんな感じだったのである。ただ日本のそれには理想として正義を追求する姿勢があったのに、
こちらにはそういう雰囲気はない。主人公は自分を陥れるため周辺を探っていた刑事を射殺し、同時に射殺した密売人に罪をかぶせたり、
普通の刑事ドラマで出てくる悪徳刑事のやり方そのまま。よって好き嫌いがはっきり分かれる内容だとは思う。
そういうことをしておきながら人情味も表現されているあたり、人間って大抵そういうものだよなという共感は持てる。
9・11事件以前にアルカイダのテロ計画とその阻止を描いていたエピソード。アメリカ性善説がちと鼻につくものの、
情報提供者の一家を保護しアメリカへ脱出させるプロセスは単純にスリリングかつ面白かった。普通この手のドラマは、
実際に活動を行うメンバーのみ取りざたされ、その手配をする側のセクションは軽視されがちだが、この作品は
潜入用パスポートや架空のプロフィールを偽造したりするメンバーの職人っぷりにもスポットが当たっているのがいい。
来るたびに吉祥寺はいい街だと思う。駅前の構図が広々としていてなんとも絵になる。いかにも「街」というイメージがある。
井の頭線の車窓から見える風景も「俺が子供の頃くらいの普通の生活」っぽさを残している。下世話過ぎずハイソ過ぎず、
例えば渋谷だとちょっとプレッシャーを感じる俺でも自然に溶け込める。とりあえずここですべて用が足りるのもいい。
俺がよく行く相模大野や町田には、街としての奥行きというかスケール感が圧倒的に足りない。暖かい時期はいいが、
冬に都心方面に行った帰りの寂寥感というのは結構ヘビーだったりもする。