スタンドは内野自由席を中心に6〜7割程度の入り。空きが点在しているが、全体としてはかなり埋まっている。正直驚いた。
招待券をバラまいていたとしても、これだけ埋まるのは結構すごい。揃いのユニフォームを着た少年野球チームがかなりおり、
守備終了時などに選手からボールが投げ込まれるときは、まるでエサをほしがるコイのようだった。彼らを除くと、
見たところ観客の年齢は30代以上の大人がメイン。私設応援団による鳴り物応援はなく、殺伐とした感じも皆無。会話をしながら
ゆったり野球を楽しめるし、テンポよく進むので試合時間も短い。今日の試合は延長まで突入したが、それでも3時間弱である。
パープルサンガの一時期のユニのような色合いの東京の先発は村田、コンサドーレと色を揃えているような札幌は新浦。
おそらく大半の客が最も見たい選手の一人である村田兆治の投げ込む球は、コンスタントに130キロ台後半を記録。まずこれに感激した。
さらに言えば、別に村田だけがすごいわけではなく、他の選手も明らかに鍛え込んできているのがわかる。出てくる投手それぞれが
自分の持ち味を発揮し、現役時代の守備の名手はそれに違わぬ技を披露、現役時代の印象が薄い選手たちも「今」持っているものを出し、
マスターズリーグのプレイヤーとして好成績を残そうとする姿勢が伝わってくる。
若い頃の爆発力が失われているためホームランの少ないマスターズリーグだが、左打席から最短距離を通って右中間に
美しい軌道のホームランを叩き込んだ札幌の秦、数々のピンチを切り抜けた抑えのエース東京の斉藤明夫、妙に会場人気があった東京・森、
現役時代より「やってくれそう度」がアップしていた札幌・大塚などが個人的に印象に残った。元・敏いとうとハッピー&ブルーの
ボーカルとしても知られる札幌・藤城もカッコ良かった。東京・大矢は札幌の三盗を阻止した。
予備知識がゼロだとさすがに厳しいかも知れないが、各チームに2、3人知った顔がいれば、それを核として普通に野球の試合として楽しめる。
現役時代はあまりパッとしなかった選手でも、その後の鍛え方や意識の持ち方次第では、かつての名選手と互角以上に戦えるので、
それも「普通に面白い」ことに貢献しているのかも知れない。主審は変なサーモンピンクのシャツだったが、塁審のデアデビル色のジャケット
(ウエストは絞っている)が非常にスタイリッシュでカッコ良かった。
ふたを開けてみたら、「すごく強いという感じはしないが安定していて普通に強い」といった印象のマリノス優勝。
リードして試合を進め、天国に昇りつめようとしたところで足を踏み外して地上に落ちてしまったジュビロの放心状態が
伝わってくるようだった。そしてさようなら京都と仙台。