簡単にまとめて感想を書くと、「ああ面白かった、明日からもがんばろう、また来たら行くぞ」という感じ。
新横浜に着いて時間をつぶしたい場合、駅前の文教堂書店は混むので、新横浜プリンスぺぺへ行くことをおすすめする。
トイレや4Fの本屋など結構すいている。
会場ではもっと混雑を予想していたのに、あっさりと入れたのは意外だった。映像の流出などを警戒してか、甘かったがカメラチェックが一応あった。
俺のチケットは立ち見。ほとんどのシーンは普通に見えたのが嬉しかった。試合進行のテンポが良く、まったく疲れを感じなかった。
客はやはりWWEのレスラーTシャツを着ている人が多い。プロレス会場では見かけない普通の若者系客も多数。
よくいる典型プロレスヲタも多数。俺はもちろん後者(笑)。様々なネタやメッセージを書いた手製のボードを上げるのがWWEの楽しみ方のひとつだが、
今日は去年の3/1に見たときと比べるとボードの絶対数が少なかった。平日開催ということで仕込む時間がなかったか。
開演前、妙に場内のところどころが盛り上がっているので何かと思いきや、盛り上がりの輪の中心にいたのはおなじみ、ザ・ロックのなりきりさん。
場内を練り歩き、ロックの仕草を完全コピー。客も反応。すっかりこれで場内が暖まった。
彼の後ろにマット・ハーディーとホーガン?のなりきりもいたが、照れがあるのと覚悟が足りない感じでイマイチ。がんばれ。
偽ロック様は休憩時間にも同じように場内を徘徊。
そのとき間近で見たところ、こちらはペイントらしいが本物同様に左の肩口にタトゥーがあったり、なかなか鍛えた体をしていた。
他にもテイカー、ケインなどのなりきりはいたようだ。
リングアナの注意アナウンス、セイブルの煽りマイクなどを経て、予定時間の19:00ほぼジャストにスタート。
以降、ほとんどのマイクは英語オンリーで進むが、おそらく選手はわかりやすい話し方をしているのと、状況を多くの人が理解しているため、
特に不自由は感じなかった。「要するにこういうこと言ってるんだろう」という点だけは俺でもはっきりとわかった。
まず第一試合のスパンキー(ZERO-ONEに来ていた)対キッドマン戦でのフィニッシュ、キッドマンのシューティングスタープレスの際に、
場内でフラッシュが一斉に焚かれたときの美しさに感動した。本当に流星のようだった。
第二試合ではトーリーの浴衣に萌えた。ビリー・ガンは試合以外の部分のほうが映える選手だ。
第三試合は故郷に錦を飾ることになるフナキへの温かい声援が良かった。彼は自然体でじっくりとやっている感じが成功の秘訣かも知れない。
ちなみにフナキ(船木勝一)は東京都葛飾区出身。
第四試合は、そのあり方やたたずまいが高山善廣と似ているショーン・オヘアの、遠目からも割れているのがわかる腹筋がすごかった。
ライノの必殺技ゴア(いわゆるスピアー)の時のフラッシュの閃光が印象に残った。向こうから俺のほうへ向かってくる形だったので迫力があった。
第五試合はタッグタイトルマッチ。チャンピオンのハースとベンジャミン(元チームアングル)が気に入った。
彼らはまだ若くてキャリアも浅いのに、典型的ヒールのタッグ屋的試合運びの巧さがある。カート・アングルと組んでいたときの賜物か。
レイ・ミステリオのトランポリン式入場には度肝を抜かれた。ウルティモ・ドラゴンの入場には炎が使われていて、
彼がエフェクト使用の第一号だったことから、彼に対する扱いの良さがうかがわれる。ただ力みすぎていたのか、
試合後のマイクで客にキレるといった一幕があり(「日本語でしゃべるな」的ヤジに返したようだ)、
ちょっと観客を引かせたりもした。
試合は元アングルの二人が常にチームとして戦い、ウルティモとミステリオは単独*2で対していた感じで進み、
アサイ・ムーンサルトや619といったそれぞれの技を出すいとまがなかった。
ウルティモは日本人なのだから日本語で話しても構わないが、今回のリングでのウルティモのしゃべりは、あまりに日本プロレス的過ぎたのが
いけなかったのだと思う。彼に関しては、もう少しアメリカマットで実績を積み、日本のファンにプレミアム感を募らせてから
出したほうが良かった。明日の神戸(闘龍門のお膝元)での試合は、今日の経験を生かしてほしい。
休憩明けは昨日と同様にブラッシー追悼ビデオを流すも、千野のリングインはなし。フジテレビ「スマックダウン」実況陣は来ていたが、
目立つことはしなかったので何より。
第六試合はクリス・ベノワ(いわゆるワイルド・ペガサス、元新日練習生)の日本凱旋を称える試合。首かき切りポーズや
ダイビングヘッドバット、ジャーマン三連発、クリップラークロスフェイスなど定番ムーブに沸く場内。彼も日本でいい試合ができて嬉しかったようだ。
Aトレイン(エートレイン)も巨体を活かしたオックス・ベーカー系怖い悪役として味を出していた。
第七試合ではTAJIRIとカート・アングルがタッグ結成。アングル入場時にはテーマに合わせ、場内が一斉に「You suck」。
字幕では「へなちょこ」と出るフレーズながら、ベビーフェイス転向後は親近感がこもっている。
相手はTAJIRIの元パートナーのエディ・ゲレロ(二代目ブラックタイガー)と白人ラッパーキャラのジョン・シナ。
シナは「昨日もsuckだったが今日もまだsuckだな」などと言い終始客のヒートを買う。エディはタッチロープの位置をずらして
自分たちに有利にしたり、シナのコブラツイストをヘルプしたりとわかりやすいズルさで客を沸かせる。
今回のツアーは日本人選手を立てる内容になっているようだが、TAJIRIは「さんざんやられるが耐えてアングルにつなぎ、
混乱の中最後はグリーンミスト〜バズソーキックで決める」という流れで、受けの面を強調して見せていた。
メインのレスナー対ビッグショーは、巨漢同士が真っ向からぶつかるプロレスならではの非日常的光景がすごかった。
俺は最近東宝怪獣映画を何本か見たので余計に。ビッグショーは人間というよりも大型獣のそれと雰囲気が近い。
レスナーは「怪物に近い人間」という感じ。いずれにせよ、160センチ台しかないミステリオと彼らが同じ世界を共有しているのが信じられない。
日本のリングよりやわらかい造りになっているせいもあるが、二人が動くたびにリングがきしむ。レスナーのF5、ビッグショーのチョークスラムなど
お互いの力業がたたみかけられる。普通の投げ技も彼らが使うと致死的だ。ビッグショーとレスナーのコーナーでの攻防のときは、
マット崩壊を再現してくれるかと期待したが残念ながらそれはなし。しかしそんなのを補ってあまりあるド迫力の試合だった。
勝利後、乱入してきたハース&ベンジャミン+ビッグショーに袋叩きに遭うレスナーをカートが救出。
アングルスラム、アンクルロックといったおなじみの技で蹴散らす。レスナーが引き上げ、一人リングに残ったカートは
マイクでビッグショーを呼び出し、「(持ちネタとして評判の)ハルク・ホーガンの真似をやれ」と指示。
さっきまでの怖い人っぷりをかなぐり捨て、似ているホーガンの真似をするビッグショー。カートも「It's true」という決めセリフを披露。
言葉だと表現するのが難しいが、試合後のこのボーナストラックだけで元を取った気がする。このシーンでの場内の盛り上がりは最高潮だったと思う。
カートは強いだけでなく、マイクで客にアピールする術も見事。団体の看板として十分過ぎる仕事をしてくれた。
この場面も加え終了はおよそ21:40過ぎ。余力を残した一番いい感じの長さだった。
以上、長文におつきあいいただき感謝します。
ぺぺの向いにある、新横浜グレイスホテルの1F喫茶ルームもなかなか。普通の茶店よりは高いけど、ここのアールグレイはお奨めです。